ゼネコンの意味やその役割について

◆建築業界の大手であり総合請負会社である

ゼネコンというのは英語の頭文字を略したもので、直訳すれば総合請負会社にあたります。

請負というのは他人からの依頼を受けて何らかの作業を行い、その出来上がりにあたる成果品と引き換えに代金を受け取る事業形態のことをいいます。

したがって請負会社にあたるものはいろいろな産業分野にまたがっているはずですが、一般にこのような言葉でイメージされるのは、土木工事・建築工事を請け負っている建設会社に限定されていて、そのなかでも町場にある工務店レベルではなく、全国あるいは世界をマーケットとして活躍する大手の会社を指すことが多いようです。

このようなゼネコンが建築をする建物も多岐にわたっており、生活に身近なところでは高層の賃貸または分譲マンション、デパートやホテル、オフィスビルなどが挙げられます。

もちろんこれだけではなく、市役所や競技場、駅舎、病院や学校などといった公共性の高い施設もいろいろと含まれますが、最近では国・地方ともに政府が大規模公共事業の経費削減を行っているため、かつての時代ほどの需要はなくなっています。

それでも鉄筋コンクリート造の堅固な建物でも新築からの年数が経過すればやがて老朽化することはあきらかですので、既存の施設の建て替え需要などは今後とも見込まれているところです。

◆大きな仕事を請け負える日本独自の形態

またゼネコンの守備範囲は何も人が住んだり物を売ったりするような施設だけではなく、高速道路や橋梁、電波塔、港湾などのような、さまざまな産業を支える施設も含まれています。

ときには土地区画整理事業や市街地再開発事業などの法律上の枠組みを利用して、広い面積にわたる土地を一体的に開発するようなこともあります。

これは建物を建てるというよりも、むしろ街区全体をつくるというスケールの大きな仕事といえるでしょう。

このようにゼネコンは小さなものから大きなものまで、あらゆる建設の世界にたずさわっていますので、膨大な資金力が必要なことはもちろん、会社の内部的な組織を整備し、多彩な専門的人材を雇用して常にその能力を引き出せる状態にしておくことも求められています。

そのため大きく分けると建物などの設計の部門、実際に工事をする施工の部門が、ひとつの会社のなかに同居しているようなかたちになっているのもゼネコンの特徴といえます。

このように専門性の高い分野同士が同居しているのは、それぞれの分野ごとに会社を持つのが常識な諸外国ではかなり珍しく、我が国独自の形態です。

設計に関しては建築基準法や都市計画法などの諸法令や、法令だけではなくさまざまな通達、市町村の条例、指導要綱などの行政指導にあたるものまで、その内容を遵守する必要がありますので、実は事前の準備だけでも大掛かりなものとなります。

地域や目的にふさわしい外観や内装をデザインに落とし込むことも必要ですし、そのデザインが機能性を失わないようにするのも設計士の腕の見せどころといえます。

構造計算など建物がその荷重に耐えて安全に使えることを専門的に解析したり、最近では空調やエレベーターなどの設備を含めて建物全体が省エネルギー基準に適合しているかどうかを計算することまで必要となっており、厳しい法規制を踏まえつつ、施主の希望をどのように実現するのかが問われています。

◆ゼネコンの仕事とは建物や街並みづくりがメイン

いっぽうで施工のほうは一般の人でもよく見かける建設会社の姿といえますが、こちらも設計図があれば建てられるといった単純なものではありません。

施工にあたっては既存の建物があればそれを敷地から撤去しなければなりませんし、山林原野であればまずはブルドーザーなどの重機を使って土地の造成からはじめることになります。

造成にあたっても実は地震や降雨などで崩れてしまっては大変ですので、あらかじめ地盤の固さを調査したり、標高などを測量したりといった準備が求められます。

建物を建てる段階でも基礎をつくり、柱を配置し、外壁や屋根などの部材を組み合わせるといった一連の流れがありますし、内装や電気工事、水道工事などの外側からは見えない部分の施工もあります。

これらの工程ごとに作業をする人や重機その他の機械を調達し、しかも計画どおりの日程で完成するように管理をするのも仕事のひとつです。

さらには不動産に関連した営業の部門もあります。

ゼネコンは建物あるいは街並みをつくる仕事がメインではあるものの、他人からの請負だけにとどまらず、自らつくったマンションなどの建物を居住または事業向けの不動産として販売したり、あるいは販売してくれる外部の不動産会社との折衝をしたりする仕事はかならず発生するものと考えるのが妥当です。

販売のほかにも日常的な清掃や空調管理、大規模修繕などといった、建物が竣工して以降の管理に関わる仕事をしているセクションもあります。

単に新しい建物を建てるだけでは終わらずに、その後の管理運営についても一括して任せることができる存在としての役目も注目されています。

最終更新日 2025年5月20日


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